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プレゼンテーション ~情緒と情熱の分岐点~ 

2020.04.29

Nick塾 <グローバルよもやま話>プレゼン編 

コロナ騒動の鎮静に向けて各国の大統領・首相の自国民への訴えを毎日のようにメディアで目にする今日この頃。我が国の首相のそれは、プレゼンテーション後の記者との質疑のありかたをも含めあまり評判は良くありませんね。

批判の多くは「プロンプターに映る原稿を読んでいるだけ」というものが過半を占めるように見えます。

「方針を裏付けるデータや数字がない」「具体性がない」「実行へのスピードが無い」「大げさな形容詞がちりばめられた空疎な内容であまりに情緒的に過ぎる」等々

当事者からすればまさに「心を折られる」ような辛辣な批判が並びますが、一国の首相という仕事はまさにこういう批判にさらされる覚悟がなければ務まらないのでしょう。おっと、ここでは、政治の話をするつもりはありません。プレゼンテーションのお話です。(笑)

安倍首相にも、振り付けやスキルのアドバイスをする人、「人の心に刺さる」文章を書く才能に溢れたスピーチライターもいるでしょう。ではなぜ、このように多くの批判を受けるのでしょうか。

首相のプレゼンも、我々ビジネスパーソンのプレゼンも、プレゼンはプレゼン。先の辛辣な批判を我が事と思えば、これはこれでヒントの宝庫ともなります。

>数字・データが乏しいプレゼンは説得力に欠ける。→ そりゃそうだ。

>原稿を読んでいるプレゼンでは伝わらない。→ それもそうだな。

>服装とか目線とかスキル系に色々気を配っているか。→そう、それも大事。

>言い回しが回りくどい。結論がビビッドに伝わらない。→日本語の癖もある。結論最初、大事だよね。

>記者の質問にまともに答えない。→ 政治家は首相に限らず、おおむね聞かれたことには答えない?傾向があるようで。これはビジネスプレゼンではあまり使えないテクニックかな・・。(笑)

そして

情緒的に過ぎる!というもの。

私個人の意見を言えば、スピーチの文章は人々の共感を得られるように練られているし(政治家の演説というものは洋の東西を問わずそういうものでしょう)、それ自体は悪いことではありません。各国トップのメッセージもある意味似たり寄ったり。これだけをあげつらって悪し様に批判するのはどうかな、とも感じます。

公平を期せば、「あの話は心に刺さった」「国民一丸となって頑張ろう、という気になった」という意見も世の中にはあるので。

ところで、今回のコロナ災禍は、各国の首脳や政府が全く「同じ政治課題」を「同じタイミング」でよーい、ドン、で与えられた極めて稀有な機会であり、プレゼンに限らず、各国の政治・行政のパフォーマンスの「見本市」のような極めて興味深い状況ともなっています。 そう思って各国の対応を注意深く見てみると様々な分野や角度から、日本という国、或いはこの国の政治や行政の「能力」の国際比較が嫌でもできるようになっているのです。

では、そういう批判をあまり受けていない、いやむしろ評価をこの騒動への対応でグーっと株を挙げた各国の首脳のプレゼンはどうか。ドイツのメルケル、英国のジョンソン NYのクオモなどなど。

個人の好みはあれど、悪くない、いや、素晴らしいものが多いと思います。

では彼らのプレゼンが情緒に流れていないか、といえば、少なくとも私の目や耳には情緒的に映り聞こえるものも無くはありません。一方、冷静なデータや数字、方策に絡めて、断固とした意志や窮地に立たされた国民への深い愛情(寄り添い感)を強く感じるのも事実です。でも、多くの人たちは気が付いているのです。何かが違う、と。それはもうきっと本能的なレベルで。

何が違うのか。しかも決定的に。

圧倒的な「想いの熱量」の違いかな、と私は感じます。

一つ試してみませんか。それぞれのスピーチを音を消して画像だけ見てください。表情、目の動き、体全体から発せられるオーラ、皆さんの感度をマックスに研ぎ澄ませて確認してみてください。

で、”Nickのプレゼンの神髄”

プレゼンの内容そのもの、スキルや言葉の表現とは全く異なる次元で、素晴らしいプレゼンにはそこに込められた圧倒的な「熱量」、相手に伝えようとすること・ものへの自身の真剣で強い「想い」、そして伝える相手の為になりたいという言葉を通じて心から溢れる「愛」が必要だ、というのが私のプレゼンにおける「背骨」です。この背骨を持たないプレゼンはただの「借り物」であり、借り物が人を動かせるはずはないのです。

他のものがそこそこ揃っているのに今一つ人の気持ちを動かさない、とするならば、プレゼンを本来支配するべき「想いの熱量」が不足しているのかもな、と感じます。しかし、仮にそうなのだとする炉、これは決定的な差異を生みます。

皆さん、よく覚えておいてください。プレゼンは総合力です。その人の持つ全ての素養と「想いの熱量」が雌雄を決します。付け焼刃のスキルで人を動かすことは出来ないのです。人を動かすことはそんな簡単な、安っぽいことではないのです。 

やはり必要なのは、情緒ではなくて、人を動かす「情熱」なのです。今後のわが国の首相のスピーチに、実質を伴う想いの熱量の増加を期待したいと思います。

自分のプレゼンに何を加えればもっと人を動かす力となるのか、健全かつポジティブな批判精神をもって毎日の世相を眺めれば、明日からでも自分のビジネスに役に立つヒントを得ることができるかもしれません!

And yet it moves!  心から溢れる想いと熱い情熱で地球を回しましょう!