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日本人に評価される外国人はなぜ他の外国人に評価されないのか? ②

2020.05.17

Nick塾 <グローバルよもやま話> 異文化マネジメントに関して(全三話・第二話)

「いやあ、今日のプレゼンはよかった。折角だからBarで一杯やろうぜ」

さて、そんなある夜、プロジェクトの軽い打ち上げのあと、某英人シニア、米人コンサル、私の3人で

勢い余ってロンドンのパブで一杯やる、という機会がありました。

いつもはジェントルマン(風)の英人シニア君。

かなり深酔いした模様。と思いきや、なんと、共に働く日本人をバカにし始めました。

ありえない展開・・。(笑)

曰く「彼らは俺の価値を分かっていない。

丁寧に説明してやっても理解しているのかどうかも分からない」とかなんとか。

詳細は忘れましたが、イヤーな感じはキッチリと残りました。(笑)

あまり見かけも立ち振る舞いも日本人らしくないし、

なぜか普段から“Nick”と呼ばれる国籍不詳風の私を

どうやら「欧米組」と勘違いしてくれたようで、本音をひとくさりもふたくさりも。 

意外な展開に酔いも醒めた米人コンサルと私はアイコンタクトで

「やっぱりな」と。(笑)

「あのさ、確かにあんたの指摘、もっともなことも多いけど、俺も日本人なんだけどね。分かってる?」 

かなり悪酔いに近い彼に、私がやおらこういい放った時のハトが豆鉄砲で撃たれたような顔は今でも忘れません。(笑)

飲み過ぎだろ! 怒

「Nick、あいつ、もう次のポジション、探してるぞ」

と帰りのタクシーの中で米人コンサル。

「そうなの?なんで?この会社に一生骨をうずめるっていつも言ってるよ。

それがJapanese Wayだって。」と私。

「あいつ見てて本気でそんなこと言ってると思うか?

それを信じるやつがいたら相当めでたいよ」と米人コンサル。

因みに“相当めでたいよ”のところの英語は、

Fで始まる単語にidiotという辛辣なコメントでした。

デキルアメリカ人の半ば口癖。 

日本人ビジネスパーソンはあまり真似しないように。(笑)

結局、数か月後、周囲のアッという驚き(私と米人コンサルにとってはやっぱりな、でしたが)と共に、

彼本来のビジネスエリアの企業への華麗なる転職を彼は決めました。

その際、米人コンサルにreference<推薦状>を頼んだという厚かましさ。

ある意味凄い!

当然米人コンサルは断ったとのこと。

「あいつを推薦したら俺の質が疑われる」、と。厳しい・・とさ。

めでたしめでたし。 いや全くめでたくない! (笑)

何故なんだ、とあわてていた日本人シニアの人達も少なからずいたけれど、

私にとっては「やっぱりな」でしかなかった。

日本人部下への評価はやけに鋭いのに、

何で外国人だと”まがいもの系”に気がつかないのかなあ、と心の中でブツブツ。

実は、この話には、彼が忽然と(用意周到に)姿を消す前に、

一つ後日談があるのです。

米人コンサルと世界中を飛び回って投資案件を拾いに拾った私は、

そのグローバルワークを経営陣に報告するいくつかの機会がありました。

その報告会には、この分野に明るいと目されていた件の英人シニアも

遠路はるばる東京まで出張し参加していました。

例のBarの一件のあとの会議でした。

私のプレゼンが終わった後の質疑で、

自らのプレゼンスをいつもの通り誇張、失礼、十二分にアピールしたあとに、

なぜか、事前の彼我の合意事項とは全く正反対の主張、即ち、

我々のアクションにダメ出しを急にかつ強烈に出し始めました。

なんでやねん!(笑)

怒りと驚きで目の玉が飛び出そうな傍らに座っていた米人コンサルを

視線でなだめながら、さてどうしたものかと瞬時の思案を経たのちに、

私は、「いつもの通り」必要なアクションを取りました。

どうしたかわかります?

当然、かまされたらかまし返し、でした。(笑)

倍返しではありませんでしたが。

その会社の風土は、こういう報告会では、割と予定調和的に流れる感じ。

そういう意味では極めて日本的。

時に、社長から愛情のこもった?厳しいダメ出しを受ける以外は、

参加者間で侃々諤々の議論が行われることはあまりなかったかな。

ましてや英語ではなおのこと。

また、彼が私よりもはるかにシニアの役職であったこともあり、

英語による強烈な批判の一撃をうけた私は、

通常の日本人スタッフは押し黙り嵐の過ぎるのを待つ、

或いは次の機会を狙うぐらいが関の山、

というのが「予想されるコースでした。

私にきつい一撃をくれた彼の眼には「勝負あっただろう」的な自信と

いささかの(恥をかかした)私への憐みの色合いが滲んでいたような。

と、感じたのは、私だけでなく、あとで聞いたら米人コンサルも同様に感じていたとのこと。

ところが彼の不幸は、私は普通の日本人ではなかったということでした。(笑)

一応米国MBAの修羅場でそれなりに揉まれていたので。(笑)

好むと好まざると、いわゆるLow Context Society欧米のビジネス競争社会では、

「なめられたら終わり」

だと私は思っています。

特に欧州系よりはアメリカですね。(笑)

もちろん、それは安い喧嘩をする、という意味では全くなく、

論理的・合理的な反論があるのであれば

職位の上下など気にせず自分の信じることをとことん議論する勇気を持つことを意味します。

おっと、裏目に出れば窮地に陥ることは洋の東西を問わず同じですが・・。(笑)

空気を読むことを多くの場合求められる日本では全く受けないスタイルです。

が、海外、特に私の経験上、

欧米の質の高い企業や組織集団における議論では異なるのでは、

その議論が合理的かつ合目的なものであれば、

自らの意見をはっきり述べるというのががかなりの確率でdue course(当たり前)であるのでは、

と私はその時も思っていましたし、今もそう思っています。 

意見を言えないのは、意見が無いのと同じ、即ち自ら無能を証明することになるからです。

勇気をもって口を開いてなんぼ、の世界であり、誰も空気を親切に読んではくれないのです。

もちろん、物事には例外はありますので、保証はしませんが。それこそ空気を読みながら..あれ?(笑)

私は彼の意見の誤謬を突き(なめんなよ!)、

アドバイスはありがたいが、その指摘は全く的外れであり、この方針で変わらず投資を進めるべき、と

の主張を明確に行いました。

その後は、丁々発止の意見のぶつけ合い(映画でよく見るやつです)を行い、「まあまあまあ」という感じで双方なだめられつつ、

一番大切な投資案件の方向性は認められたという果実を手に入れました。 That’s what I want!

かの御仁のハトが豆鉄砲を食らったような顔、2回目でした。(笑)

「英語ネイティブのシニアをあんなに会議の席上でゴリゴリ英語で論破しようとする日本人は初めて見たよ。お前、力ついたな」

その昔、若かった頃に、自らの存在価値すら否定されるような厳しいご指導(今なら間違いなくパワハラ(笑))を何度も頂いた、

このビジネスエリアを担当する子会社の社長となられ会議に参列されていた昔のご上司に褒めて頂いたのは

ちょっぴりうれしかったことを覚えています。  

皆さん、基本は、「なめられたらあかん」のです。

英語がうまく話せるか、なんてどうでもいいのです

ましてや、TOEIC何点なんて、グローバル現場の修羅場では何の保証もしてくれないのです! 

私の唱える、3つの壁(英語・異文化・心の壁)を乗り越えろ!

まさにここは「心の壁」への挑戦を試されたところであったと思います。

本当に必要なのは、単なる英語力、もとし、英語の試験で高い点を取る能力ではなく、

もっと複合的かつ実践的な「英語で仕事力」なのです。 

これは、また稿を変えてお話しますね。

第三話は、で、いよいよ異文化マネジメントの話になります。

Again, stay tuned!

And yet it moves.. 気合で地球をまわしましょう・・無理か。(笑)